彫 刻 教 室

彫刻はどのようにして作っていくのでしょうか。
我が子や孫、若かりし頃の自分など、身近な人の胸像を造ってみましょう。あんがい想像より簡単に造れるものです。
制作過程を追いながら、ご説明しましょう。

心棒を組む
 
 
適当な板に心棒を立てて、心棒に木片を十文字に結わえる。

 心棒は画材店で取り寄せて貰っても良いですが、木や鉄棒、太い
 針金で 代用してもいいです。

 制作途中でグラグラしてくると困るので、ここでしっかりした心棒を
 組んで おきましょう。
 
粘土を荒付けする

 
いよいよ粘土を付けていきます。
 細かいところは考えないで、大まかに頭と首と胸の三つの関係
 だけを考えて造っていく。
 中心線を引き、頭部の傾き、胸部の傾きを表しながら量の動きを
 考える。

 粘土は普通の粘土でもいいのですが、水分の管理が煩わしいの
 で ここではイタリア製の油粘土を使いました。

 
り込む

 
徐々に細部まで作っていく。細部にはこだわらず、常に大きな形を
 見て表現するように務める。

 
形は輪郭線で見るのではなく、量で見るように常に心掛けましょ
 う。

 
似ている、似ていないはこだわらないようにしよう。
 形が正確に表現されると自然と似てくるものです。
粘土原型の完成

 
仕上がりの表面は多少荒くとも、それが「タッチ」となり、出来上が
 った作品に味わいを加えるものです。
 樹脂になってから修整することも出来ますのであまり気にせぬよ
 うにしましょう。

 サインを入れるのを忘れぬように。
石膏取り
 
切り金入れ

 
粘土のままでは保存が出来ませんので、樹脂にする方法を説明し
 ます。
 彫刻の稜線に沿って切り金(0,1mmの薄い真鍮板)を入れていき
 ます。注意すべき点は、引っかかり無く外れるように工夫して下さ
 い。
 また、この切り金の厚みが石膏の厚みになりますので、丁寧に入
 れてください。

 
石膏の塗り込み

 石膏を普通に溶き、軟らかい筆で塗っていきます。この時、気泡
 が出来ないように、また出来るだけたっぷりと乗せるように塗って
 いきます。
 一層目が塗り終わると固まるのを待って、二層目以後は石膏を
 溶いて、しばらく待ちます。固まりかけのソフトクリーム状になった
 ときに手早く石膏ヘラで塗り込み、厚みをもたせます。

 
切り金出し・型外し

 石膏がよく固まったら、小刀やノミで石膏を削り切り金を出します。

 切り金の2,3カ所からヘラをこじ入れ型をはずします。

粘土出し

 いよいよ粘土出しです。
 表面に傷を付けないように注意深く大胆に抜き出しましょう。

 油粘土は何度でも使えますので石膏かすやゴミが混ざらないよう
 に抜き出します。

 
樹脂の塗り込み

 型に水を充分吸わせて、余分な水分を切り、表面から水が引い
 た頃、樹脂を刷毛で塗っていきます。一層目が乾いたら同じよう
 に刷毛で今度はガラス繊維を張り込んでいきます。
 二層目も固まったら、両方の型の合い口の余分な樹脂を削り、
 そこに硬い目に溶いた樹脂を多い目に塗り、両方の型をグチャ
 っと合わせ、針金や紐で動かぬように縛って固定する。

 
割り出し・修整

 樹脂が完全に固まったら、石膏型を割り出します。マイナスドラ
 イバーや刃先を潰したノミで、本体を傷付けないよう叩き割りま
 す。
 割り出したらバリなど余分な樹脂を削りとり、穴や気泡は樹脂
 で埋めます。

 
着色・完成

 修整が終わったら着色です。
 布で磨いて調子を付けます。
 ワックスを少し付けるとよく光ります。

 台を付ければ完成です。

 どうです、ブロンズのような風格があり、芸術の香りがするでし
 ょう。 

 玄関や床の間、ピアノの上などお気に入りの場所に飾りましょ
 う。
材料一覧 油粘土・手板・紐・ヘラ
石膏・ホーローボール・石膏ヘラ・切り金(0,1mm真鍮板)
FRP樹脂(ポリエステル樹脂)・ガラス繊維・タルク・刷毛
パーメック(樹脂硬化剤)・顔料・カシュー・シンナー

      
これらの材料は○×ハンズなどで入手出来ます。

   注・  転載はご遠慮下さい。